夢を追い、心身のバランスを崩した日々を救ってくれたヨガ。今を丁寧に生きることが後悔しない人生につながる〈前編〉

ヨガティーチャー 梅澤友里香さん

ヨガティーチャーの梅澤友里香さんは、20代でケガをしたことでダンサーの夢を断念。ヨガの道に転向し、心身の健康を取り戻しました。ベジタリアンでもあり、クロレラに出合って7年ほど。2024年2月からはアンバサダーとしてサン・クロレラの良さを発信してくれています。

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一生懸命すぎて、心も体もボロボロに

はつらつとした笑顔が印象的な梅澤友里香さんは、インタビュー前の少しの空き時間にも体を触ったり、ストレッチをしたり。ほとんど無意識??というくらい、体を動かしています。「家でもこうなんですよ」とにっこり。こういった隙間時間でも体のメンテナンスはできるのだなとハッとさせられます。

子どものころからバレエやジャズダンスに親しみ、10代・20代には、ダンサーを夢見て活動していた梅澤さん。「毎日、毎日長時間練習して、『落ちるのが当たり前』みたいな感じで次々とオーディションを受けていました。生活リズムもメチャクチャ。運動量も多いし、気持ちも張り詰めてましたね。だけどそこに夢があったので、頑張るしかないと思って。同時に、自分でも無理をしているなという実感を持ってはいたんです」

心と体を鍛えながら懸命にダンスに打ち込んだ日々。「大袈裟ですが、自分の中では死ぬか生きるかくらいの感じで、戦っている気持ちだった」と振り返ります。希望に満ちて充実しているような、それでいて懸命に努力しないと置き去りにされるような・・・・・・。そんな緊張感に身を置いて、鍛えていると思っていた心と体は限界にきていました。

25歳の頃、転機が訪れます。ケガをして踊れなくなってしまったのです。「横断歩道の信号が青から赤に変わる時間内に渡り切れないほど、歩きにくくなっていました。もう体はガタガタだったんですね」

病院で検査をしても、ケガの原因ははっきりとはわからずじまい。「じゃあ、これは何なんだろうと思いました。でもひょっとして『検査の映像に映るようなものが原因じゃないのかもしれない』と思い、心に浮かんだのがヨガだったんです」ケガの原因は自分の中にあるのかも――。体だけではなく、自分の内面にも向き合おうと、ヨガのスタジオを訪れ、レッスンを受けるようになりました。

そもそも梅澤さんがヨガにチャレンジしたのは17歳の時。「ちょうどヨガが流行し始めたころでした。私はダンスをやっていたので、もっと体が柔らかくなりたい、体の左右の差を整えたいとか、そういった気持でレッスンを受けたことがありました」。当時は定期的に通うというよりも気が向いたときに通っていたそうですが、思うように動かない体を目の当たりにして、このときのことが思い出されたのです。そして久しぶりに訪ねたスタジオでかけられた言葉に、気づきを与えられたといいます。「レッスンで先生が『そのままでいいんですよ』っておっしゃった言葉に、涙が出ました。すごく頑張ってた、頑張りすぎていたんだなと。こうやって気持ちを休ませることが私は必要なのかもと、ヨガを本格的にやろうと決めました」

photo by 石尾遼

忙しくても、自分のための時間を持つ

現在では、ヨガのインストラクター養成の講義を担当したり、100人規模のイベントをプロデュースするなど、活動の幅を広げています。 それでも、毎日自分のためにヨガをする時間を必ず持つそう。「今の私にとってのヨガは、自分自身を整え、リラックスした状態にしてくれて、チャレンジする気持ちを持たせてくれます。生きていくうえで、体にも心にも、変化したり、反対に変わらないこともありますよね。でも何が起きても自分をブラさないでいられるために、毎日するもの。それが私にとってはヨガなんです」

毎日何時間しなくてはならないと決めるのではなく、忙しいときには1日5分でもいいからやろうというのが梅澤さんのスタンス。「朝起きて、顔を洗ったりしてから、まず太陽礼拝の動きを3回やります。それから後は日によって『今日ここ硬いな』とか思うところがあればストレッチをしたり。少なくても15分くらいは何かするようにしています」

自分自身がヨガをするときに大切にしているのは、自分に正直に向き合うこと。「“自分”という乗り物に上手に乗っていけるようになろうと思ってるんです。これは苦手なポーズだなって感じたとき、『なんでこれが苦手なんだろう』と考えて、自分の中にある“何か”と向き合うんです。それが身体的に苦手な部分なのか、それともメンタル的に胸のつかえみたいなものがあるからなのか。私が解消するべきものはどちらかなっていうことを感じながら、焦らず、淡々とやっていくことを心がけています」


その時、その場所、その人にあったヨガを

反対にレッスンなどで人に教えるときに向き合うのは生徒。「生徒さんはどういう体の状態なのか、どういう気持ちなんだろうかと。もしかしたら初めてのレッスンで緊張しているかもしれない。その時、その空間、その人達と向き合えるようにレッスンを組み立ています」

初心者向け、リラックスが目的など、さまざまな要望に合わせて組み立てて、レッスンやイベントを行っていますが、一番得意とするのは「ヴィンヤサヨガ」。流れるように動いて、呼吸と体が連動するヨガです。「ポーズとポーズの間に止まらないで、その隙間を埋めていくようなスタイルなんですが、流れの中にある心地よさを体感いただけます。内容は決まっていなくて、毎回私が組み立てます。現代人はスマホやパソコンをしていて体が丸くなったり、凝りも多いでしょう。ストレスが溜まってる人もいるかもしれない。季節が梅雨なら気圧が低いので、梅雨の重たさもあるかも。そういったことを解消できるような動きを組みこんだりします」

生徒に必要なことは何かを考え、その人に合ったヨガをと考える梅澤さん。その原点は、自身がヨガに出合うまでのダンスやケガの経験にあります。「ここに来るためにいろいろな経験をしたんだと、今になって思います。ケガをしたり、懸命にダンスに打ち込んだりしたから今がある。この先もいろんなことがあるでしょうけれど、その瞬間を、そのときの“今”を、丁寧に生きることが、私の人生のベースにするべきこと。こういうことをやっておけば、こうはならなかったのにと思うことを、先にやっておこうと思います。そうしておくと、きっと後悔をせず、後が楽だと思うんです」“今”が自分の未来を作る、そのこと経験してきたからこそ、丁寧に生きたいという気持ちが湧いてくるのです。

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